ルポ・精神病棟

古本屋で見つけた「ルポ・精神病棟」という本に
ロボトミー手術という昔の手法が詳しくのせられていた。
とても面白くためになる本だ。
大熊一夫という古い朝日新聞の記者のルポだが
当時の精神病院の患者の扱いを知るうえでとても勉強になる。
 
 
 
 
患者を檻にいれ、薬漬けにし、従わないものに電気ショック療法を与えるという
監獄も真っ青の仕打ちをしていた。
実はこれは今も一部で行われていると私は思っている。
だから精神病院は好きになれないのだ。
 
私が子供の頃に親戚が精神病質で入院した時
檻に入れられている親戚にかなりショックを受けた。
連れて行ってくれた親父も動揺したのか二度と連れて行ってくれなかった。
あそこは面会用の部屋だったのかとても小奇麗だったが
その奥の薄暗い部屋には怖くて見にいけなかった。
後日、親戚はその病院から「脱走」をした。
きっと奥の暗い部屋に移されたに違いないと私は思っている。


ロボトミー手術とは簡単に言えば脳の前頭葉を切り取って
性格をおとなしくしてしまうという恐るべき手術だ。
患者側の通称を「西瓜割り」という。
死ぬ確立の高い非常に危険な手術だ。しかも必ず性格がおとなしくなるとは限らない。
そもそも脳は未だ未知の領域であるのに、そこを切り取ってしまえば何が起こるか分からないのは当然の事だが
それ以上に性格の変容を期待して手術を行うというのは
家族側から見れば期待すべき事なのであろうが、患者側からみれば
こんな恐ろしい手術は無い。
 
現在この手術は精神外科の完全否定という医師会の決定によって
一応は消滅したといわれている。
ただし手術を行うこと自体は違法ではない(と思う)。
手術の同意を得さえすれば今でも行う事が可能な手術だし、他国では今でも行われているらしい。
現在の治療法の中心は薬物だが、これが否定されればいつこの手術法が復活してもおかしくないという現実を考えると
そら恐ろしくて精神科医にかかる気などなくなってしまう。