記憶に対する大きな誤解

医者に記憶障害があると診断されてからというもの
それに関連する書物を大量に読みまくり、自宅は
脳神経学に関する本が古今東西かなりの量が揃っている。
それでも、それを理解するにはまだまだ足りないのは
俺の記憶障害のせいではなく
脳神経学がまだまだ未発達だからなのだが

最近になって、僕たちは脳の記憶に対して
大きな誤解をしていた事に気がついた。

視覚に関する部位が損傷すると、目が見えなくなり
聴覚に関する部位が損傷すると、耳が聴こえなくなる。

記憶も『記憶部位』が損傷すると、記憶喪失や記憶障害が起こるのだと思っていた。
一部分は正解だが、一部分は不正解。
脳は特定の場所に記憶する部位を持っていない。
パソコンでいうハードディスクのような部位が存在しないのだ。

でも僕たちは見た物を覚え、聴いた事を覚えている。
それはどこに貯蔵されているのか?

それは、その部位にそのまま記憶されている。


視覚部位に視覚記憶
聴覚部位に聴覚記憶
痛感覚部位に痛感覚記憶が
そのまま刻み込まれている。
脳はそのものがCPUでありメモリーそのものでもある。

だから、記憶喪失が完全に全てを忘れたりはしないし
記憶障害も、完全に記憶出来なくなるわけではない。
※脳が完全に破壊された場合は除く。


俺の場合、右脳に激しいダメージがあるため
左半身に時折、麻痺が出たり、直感的なものが
ダメージ前と比べて奇妙な変化をしており
恐らく、記憶障害もそれに関連する事が度々喪失している。
逆に論理的記憶のほとんどは、消えずに残っているのが
面白い。


友人はこの障害に苦しんで死んでいったが
学者的な見方をすれば
『実験材料』が自分なら、何の遠慮もなく
色んな事を試せるじゃないか。
これだけでも本が一冊書けるというのに、勿体ない事をしたもんだ。