山男のリーダー論

名城大学の山岳部にて
副部長をしていたのだが

山岳部の運営が理工学部であったので
名目上、俺が部長であるわけにはいかなかった。
致し方なく副部長でいたのだが

前部長からのシゴキや教育は結構凄くて
いまだに身体に染み付いている。


最も大事なリーダー論は
「絶対に別れて行動するな」

登山家(特にリーダーは)はつい、仲間をおいて行動してしまう事がある。
山の頂きが見えるのに、部下が負傷して先に進めない時あなたはどうするか?
普通は置いて一人、頂上を目指す。

もし意見が別れた時、どのようにするか?
愚者は別行動を取るかもしれない。


そして、山男は沢山の友人達をあの山で殺してしまったのだ。


そうした歴史から、私のグループでは
一切の別行動を禁じていた。
山を下りたら喧嘩もするが
山の中では絶対に別れてはならず
リーダーは全責任を負って行動した。



山男はリーダーを信頼し
リーダーは山男達を裏切らない。



俺は上司を見る目が非常に厳しい。
「おまえの部下になった覚えは無い」と言い放った事もある。
それは、リーダーを見誤れば
一緒に谷底へ墜ちる、生き方をしてきたからだ。




今でも、俺にザイル(命綱)を預けてくれる男がいるのだろうか?
もし、いないとしたら、俺はこの10年
なんて情けない生き方をしてきたのだろう。


山男のルールは下界とは違う。
それは、生きる為のルール。
山でリーダーをしてきた人間にしか分からんのかもしれん。