紅の豚・イタリアに夢を見る

ふとテレビをつけた時に宮崎駿監督の「紅の豚」を見る。
 
そういえば私が若くして特にインパクトがあった映画かもしれない。
宮崎アニメは嫌いではない。しかし好きかと問われると悩む。
その中でこの映画だけは好きだとはっきり言える。
この映画は売れこそはしなかったが、監督が好きで作った映画だ。
監督の情熱が多くに注ぎ込まれている。
 
近年ジブリ作品は観客に共感を得られるように作りかえられている。
しかしそれは映画がより身近になっていくが現実に近すぎていく。
そして最後には観客本人になってしまうのだろう。そんな映画には私なら興味を持たない。
 
私は監督の精神を見たい。監督の作品に共感したいのであって
私に共感して欲しいのではない。
 
この作品の中でフィオという若い女性が出てくる。
きっと監督の好みの女性なのか、製作側の意向なのかちょっと寂しい感じが私にはした。
この女性はいなくても物語は成立するし、以前のCMでも顔を見た記憶は無い。
きっと後から継ぎ足したんだろう。たしかに話は豊かになっているが
これは監督の苦悩だったのでは無いだろうか。
 
しかし全般的にとても景色が美しく、そして飛行シーンの素晴らしさ。
私はPCを手に入れて一番最初に希望したのが飛行シュミレーションだった。
だからあのアクロバットの凄まじさがよく分かる。………きっと一般的には分からないだろうなあ(苦笑)
勿体無い事だが、しかしあえて監督は説明するシーンを省いた。
それにはそれなりの意図があったに違いない。そこで説明されれば私には逆にうんざりする。
結果的には売れない映画になってしまったが、おかげで私はこの映画が大好きになった。
丁度ポルコが見ていた映画館と同じような、古い田舎の映画館で私はイタリアが好きになった。